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保育士の処遇改善5.3%はいつ?2025年度分は4月に遡って支給、2026年度の改定分は年末に決まる見通し

保育士の給料の話でよく出てくる「5.3%」は、2025年(令和7年)の人事院勧告を受けて、保育所・幼稚園・認定こども園などの公定価格(国が決める運営費の単価)のうち、人件費を引き上げた率です。答えを先に書くと、2025年度分は、2025年12月に国が単価を示し、2025年4月まで遡って引き上げられました。こども家庭庁の資料は「令和7年4月まで遡って公定価格の引上げを行う。」とし、施設・事業所には「3月中には職員に改定分を支払うこと」、遅くとも夏の賞与(夏の賞与がない場合は7月中)までに支払うよう求めています(2026年9月30日確認)。

2026年度(令和8年度)は、この5.3%の改善を公定価格の中で「引き続き確保する。」とされています。2026年の人事院勧告(官民較差3.51%)に伴う改定分は、補正予算の成立が必要で、前年どおりなら年末に単価が示される見通しです。2026年9月30日時点で、2026年度の改定率は公表されていません。

保育士の処遇改善5.3%はいつ?2025年度分は2025年4月まで遡って公定価格を引き上げ、職員には3月中、遅くとも夏の賞与までに支払うよう国が要請。2026年度も5.3%の改善が続き、次の改定分は年末に決まる見通し

要点

5.3%とは
2025年の人事院勧告に伴う、公定価格の人件費の改定率(保育士・幼稚園教諭など)
いつから
2025年4月まで遡って引き上げ(単価は2025年12月に提示)
職員へ
3月中に支払うよう国が要請(遅くとも夏の賞与、賞与がなければ7月中まで)
2026年度
5.3%の改善が引き続き公定価格に入っている
次の改定
2026年の人事院勧告(官民較差3.51%)の分。補正予算が必要で、年末に決まる見通し
確認日
2026年9月30日

こども家庭庁・人事院の公表資料より編集部作成(2026年9月30日確認)

5.3%は「公定価格の人件費」の改定率

保育所などの運営費は、国が定める公定価格で支払われます。こども家庭庁の資料によると、公定価格は人件費・事業費・管理費を積み上げて算定しており、「人件費の額については、国家公務員の給与に準じて算定している。」とされています。そのため、人事院勧告を受けて国家公務員の給与が上がると、補正予算で公定価格の人件費も引き上げられます。

こども家庭庁が子ども・子育て支援等分科会(第13回・2025年12月23日)に出した資料は、人事院勧告を踏まえた人件費単価の改定状況を次のように示しています。

人事院勧告の年公定価格の人件費の改定率
2022年(令和4年)+2.1%
2023年(令和5年)+5.2%
2024年(令和6年)+10.7%
2025年(令和7年)+5.3%
こども家庭庁 第13回子ども・子育て支援等分科会(2025年12月23日)資料1-1より編集部作成(2026年9月30日確認)。2025年分の令和7年度補正予算の所要額は844億円です。

人事院勧告の率と、保育の改定率は同じではありません。2025年の人事院勧告は、月例給の官民較差を15,014円(3.62%)とし、ボーナスを年間4.60月分から4.65月分に引き上げるものでしたが(人事院「令和7年 人事院勧告・報告の概要」)、保育の公定価格の人件費の改定率は5.3%でした。保育の改定率は、勧告に伴う国家公務員の給与改定に準じて公定価格の人件費を改定した結果の率です。

2025年度分は、いつ・どう支払われたか

時期出来事
2025年8月7日人事院勧告(月例給の官民較差3.62%、ボーナス0.05月分の引上げ)
2025年12月16日こども家庭庁が事務連絡で、令和7年度補正予算での公定価格の取扱いを示す(12月に単価を提示)
2025年12月23日子ども・子育て支援等分科会に報告(令和7年度補正予算 844億円)
2026年3月中市町村から施設・事業所への支払いと、施設・事業所から職員への支払い(国の要請)
2026年の夏の賞与まで職員への支払いの最終の目安(夏の賞与がない場合は7月中まで。国の要請)
人事院「令和7年 人事院勧告」、こども家庭庁 第13回子ども・子育て支援等分科会 資料1-1より編集部作成(2026年9月30日確認)。※スマートフォンでは横にスクロールできます

こども家庭庁は、この改定分を「年度当初に遡って賃金等を引き上げるもの」と位置づけ、施設・事業所に次のことを求めました(資料1-1)。

  • 対象者:「通常の教育・保育に従事する職員全てが対象になり得ること。」
  • 使い道:「全額を人件費とすること。」
  • 払い方:「基本はベースアップによる差額分を一時金等で支払うことを基本としつつ、その他の方法も妨げない。」
  • 偏り:「対象者や支払う額が恣意的に偏らないこと。」
  • 説明:改定分の趣旨や内容を職員に説明すること(説明用のリーフレットを国が作成)

年度の途中で単価が変わるため、国は、4月まで遡ったベースアップの差額分を一時金などで支払う形を基本とし、それ以外の方法も認めています。

前回(10.7%)は、いつまでに支払われたか

国が「3月中」と期限を示したのは、前年度の実態を踏まえたものです。資料1-1によると、令和6年度分(+10.7%)では、施設・事業所の約63%が3月には一部または全額を支払い、約73%が7月には支払いを完了していました。

また、令和6年度補正予算の改定分について、全額を人件費に充てていないとする施設・事業所が約1%ありました。国は市町村に確認を求め、充てていない場合は追加で支払うよう指導することとしています。こども家庭庁は「今後、保育士等への支給状況について調査を行い、支給がされていない場合は施設・事業所へのフォローアップを実施する。」としています。

「給料が5.3%上がる」わけではない

こども家庭庁は、施設に職員への説明を求める理由として、「単純に職員の給与が+5.3%になるものではない」と書いています。

施設に入る改定分は、改定前と改定後の単価の差額を、その施設が1年間に請求した分について計算したものです。こども家庭庁の解説資料(「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について(令和7年度以降)」)も、差額分について「単純に、支払っている給与に増額割合(5.2%や10.7%等、例年、国から提示される割合)を乗じるものではない。」としています。同じ資料にある令和6年度の計算のイメージは次のとおりです。

項目金額
令和6年度当初の単価(子ども1人・月額)132,240円
令和6年度補正後の単価(子ども1人・月額)143,100円
差額(子ども1人・月額)10,860円
子ども10人分(月額)108,600円
12か月分(施設全体)1,303,200円
こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について(令和7年度以降)」の例(4歳以上児・保育標準時間認定で、10人分の基本分単価だけを請求している単純なイメージ)より編集部作成(2026年9月30日確認)。実際の差額は、子どもの年齢・人数・加算などで施設ごとに違います。

この差額が施設全体に入り、施設が職員に配分します。1人あたりいくらになるかは、子どもの数・職員の数・配分の方法で変わるため、国の資料から一律に出すことはできません。

2026年度は? 5.3%は続き、次の改定分は年末に

令和8年度(2026年度)の公定価格について、こども家庭庁は「保育士・幼稚園教諭等の公定価格上の人件費について、令和7年補正予算で措置した+5.3%の改善を引き続き確保する。」としています(「令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項」)。解説資料も、補正予算で引き上がった人件費部分は「基本的にはそのまま翌年度の公定価格の単価に反映されることが見込まれる」とし、施設に「増額改定を加味した次年度以降の給与表、給与規程等の改定にも計画的に取り組むこと。」を求めています。

つまり、2025年度分は遡って支払われ、2026年4月以降は、引き上がった単価が毎月の公定価格に入っています。2026年度にさらに5.3%上がる、という意味ではありません。毎月の給与にどう反映するかは、各施設の給与表・給与規程によります。

次の改定は、2026年8月7日の人事院勧告に伴うものです。勧告は、月例給の官民較差を15,056円(3.51%)とし、ボーナスを年間4.65月から4.70月に引き上げる内容で、どちらも令和8年4月実施とされています(人事院「令和8年 人事院勧告・報告の概要」)。資料1-1は、人事院勧告に伴う公定価格の人件費の改定について「例年行っているが、補正予算の成立が必要となる。」としています。前年は12月16日の事務連絡で単価が示されました。

2026年9月30日時点で、2026年度の保育の改定率は公表されていません。3.51%は国家公務員の官民較差で、保育の改定率がこれと同じになるとは限りません(前年は官民較差3.62%に対し、保育の改定率は5.3%)。

こども家庭庁の「令和9年度予算 概算要求の概要(保育関係)」には「民間給与動向等を踏まえた保育士等の更なる処遇改善を検討する。」とあります。また、資料1-1(2025年12月)は、年度の途中の改定分を計算する機能を持つ請求システム(保育施設業務管理プラットフォーム)について「開発中。令和8年度より運用開始。」としていました。

保育士の給料の水準(2025年)

年保育士(役職者を除く)全産業(役職者を除く)
2022年(令和4年)31.9万円36.1万円
2023年(令和5年)32.1万円36.9万円
2024年(令和6年)32.9万円38.6万円
2025年(令和7年)34.3万円39.6万円
こども家庭庁「保育士・幼稚園教諭等の処遇改善」(令和8年3月版)の「職種別平均賃金(役職者除く)(月収換算)」より編集部作成(2026年9月30日確認)。出典は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」。月収は、きまって支給する現金給与額に、年間賞与その他特別給与額の12分の1を足した額です。

2025年は、保育士が34.3万円、全産業が39.6万円で、差は5.3万円です(編集部の計算)。ただし、こども家庭庁は同じ資料で「令和7年人事院勧告に伴う公定価格上の人件費の改定率5.3%は、令和7年12月に適用しており、令和7年の保育士の賃金には影響していない。」と注記しています。5.3%の効果は、2026年以降の統計に表れる見込みです。

自分の給料で確かめる方法

  1. 2026年3月〜夏の賞与のころの給与明細に、一時金や差額の支給があったかを見る(名目は施設ごとに違います)
  2. 2026年4月以降の毎月の給与で、給与表の改定などにより基本給や手当が上がったかを見る
  3. わからなければ施設に説明を求める(国は、改定分の趣旨や内容を職員に説明するよう施設に求めています)
  4. 施設の説明で解決しないときは、市町村の保育の担当課に相談する(国は市町村に、改定分が人件費に充てられているかの確認を求めています)

処遇改善等加算(区分1〜3)は、この5.3%とは別の仕組みです。区分ごとの金額と対象は保育士の処遇改善等加算はいくら?にまとめています。聞き方と相談先は処遇改善手当がもらえない・少ないときは?も参考にしてください。

よくある質問

保育士の処遇改善5.3%はいつもらえますか?
2025年度分は、国が2025年12月に単価を示し、2025年4月まで遡って公定価格が引き上げられました。国は施設・事業所に、職員へ3月中に支払うよう求め、遅くとも夏の賞与(夏の賞与がない場合は7月中)までに支払うよう求めています(こども家庭庁の資料、2026年9月30日確認)。
給料が5.3%上がるのですか?
いいえ。こども家庭庁は「単純に職員の給与が+5.3%になるものではない」としています。5.3%は公定価格の人件費の改定率で、施設に入る差額の配分は施設が決めます。
2026年度もさらに5.3%上がりますか?
いいえ。2026年度は、2025年度に引き上げた5.3%の改善を「引き続き確保する」とされています。2026年の人事院勧告に伴う改定分は補正予算の成立後に示される見通しで、2026年9月30日時点で率は公表されていません。
調理員・事務員・パートも対象ですか?
対象になりえます。国は「通常の教育・保育に従事する職員全てが対象になり得ること。」としています。配分は施設が決め、対象者や額が恣意的に偏らないよう求められています。
2026年の人事院勧告の3.51%は、保育士の給料に関係しますか?
関係しますが、同じ率になるとは限りません。3.51%は国家公務員の月例給の官民較差です。保育の公定価格の人件費は国家公務員の給与改定に準じて改定されますが、2025年は官民較差3.62%に対して保育の改定率は5.3%でした。
改定分が支払われていないようです。どうすればいいですか?
まず施設に説明を求めてください。国は市町村に、改定分が人件費に充てられているかの確認を求め、充てていない場合は追加で支払うよう指導することとしています。相談先は処遇改善手当がもらえない・少ないときは?にもまとめています。

出典

本記事の金額・率・日付は、上記の公表資料の記載を確認日時点で書き写したものです。保育士と全産業の差は、資料の数字から編集部が計算しました。実際の支給額は、施設の請求額と配分の方法で異なります。制度は改定される場合があります。当編集部は、記事で取り上げる施設・求人サービス各社の関係者ではありません。