【総まとめ】処遇改善手当とは?介護・障害・保育で制度名も配り方も違う|2026年6月からの金額と確かめ方
処遇改善手当は、国が介護・障害福祉・保育の事業所に上乗せして払う「処遇改善加算」を原資に、職場が職員に払う手当の呼び名です。制度の正式な名前ではありません。厚生労働省のQ&Aは、手当の名称を「処遇改善手当」などに限る必要はなく、「職能手当、資格手当、役職手当、地域手当等の名称であっても差し支えない」としています(2026年9月27日確認)。
もとになる制度は、分野ごとに名前も金額も配り方も違います。介護と障害福祉は2026年6月から加算が拡充され、国が示した水準はどちらも幅広く月1.0万円、最大で月1.9万円(定期昇給込み)です。保育は、2025年度に人件費を+5.3%引き上げた分を、2026年度も続けています。この記事では3つの制度の違いと、自分の手当を確かめる方法をまとめます。
要点
| 介護 | 障害福祉 | 保育 | |
|---|---|---|---|
| 制度の名前 | 介護職員等処遇改善加算 | 福祉・介護職員等処遇改善加算 | 処遇改善等加算(区分1〜3) |
| 所管 | 厚生労働省 | 厚生労働省(障害児はこども家庭庁も) | こども家庭庁 |
| 2026年度の動き | 2026年6月から拡充 | 2026年6月から拡充 | 2025年度の+5.3%を「引き続き確保」 |
| 国が示した水準 | 幅広く月1.0万円(3.3%)+上乗せ月0.7万円(2.4%)。最大月1.9万円(定期昇給0.2万円込み) | 幅広く月1.0万円(3.3%)+上乗せ月0.3万円(1.0%)。最大月1.9万円(定期昇給0.6万円込み) | 人件費+5.3%(2025年4月に遡って引き上げ)。区分3は加算額を月4万円・月5千円×人数で計算 |
| 毎月の支払いの決まり | 加算Ⅳ相当額の2分の1以上を基本給か毎月の手当で | 加算Ⅳ相当額の2分の1以上を月額賃金で | 区分2と区分3を合わせた改善額の2分の1以上を基本給か毎月の手当で(区分3は全額) |
| 確認日 | 2026年9月27日 | 2026年9月27日 | 2026年9月27日 |
処遇改善手当は「職場が付ける手当の名前」
処遇改善加算は、事業所の報酬に上乗せして支払われます。事業所はその額に見合う賃金の改善を職員に行う決まりで、その払い方の一つが「処遇改善手当」です。介護の通知は、改善の対象となる賃金を「基本給、手当、賞与等」としており、手当ではなく基本給や賞与で払う職場もあります。
そのため、給与明細に「処遇改善手当」の行が無くても、加算による賃金の改善が無いとは限りません。基本給に組み込まれていたり、資格手当などの名前になっていたり、年に数回の一時金で払われていたりします。どれで払われているかで、最低賃金の計算に入るかどうかも変わります(→処遇改善手当は最低賃金に含まれる?)。
介護:2026年6月から対象を「介護従事者」に拡大
厚生労働省の「令和8年度介護報酬改定の概要」によると、2026年度の期中改定で「介護職員のみならず、介護従事者を対象に、幅広く月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置を実施する。」とされました。生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員には月0.7万円(2.4%)が上乗せされ、合計で「最大月1.9万円(6.3%)の賃上げ(定期昇給0.2万円込み)」とされています。
あわせて、訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援などにも処遇改善加算が新設されました。上乗せのある区分(加算Ⅰロ・Ⅱロ)を算定した事業所・施設は、2026年6月サービス提供分で約65%です。区分ごとの割合、加算率、6月分がいつの給料に入るかは、別の記事にまとめています(→介護の処遇改善加算2026はいくら?)。
障害福祉:上乗せは月0.3万円、定期昇給0.6万円込みで最大1.9万円
障害福祉も2026年6月から拡充されました。厚生労働省の「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(2026年2月18日)は、「福祉・介護職員のみならず、障害福祉従事者を対象に、幅広く月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置を実施する」とし、上乗せについては「生産性向上や協働化に取り組む事業者の福祉・介護職員を対象に、月0.3万円(1.0%)の上乗せ措置を実施する。」としています。施行は「告示改正・令和8年6月施行」です。
最大額は介護と同じ1.9万円ですが、内訳が違います。資料は「合計で、福祉・介護職員について最大月1.9万円(6.3%)の賃上げ(定期昇給0.6万円込み)が実現する措置」としており、上乗せ分は介護の0.7万円に対して0.3万円、定期昇給は0.2万円に対して0.6万円です。計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援には、加算率5.1%で処遇改善加算が新設されました。
| 内訳 | 介護 | 障害福祉 |
|---|---|---|
| 幅広い賃上げ | 月1.0万円(3.3%) | 月1.0万円(3.3%) |
| 上乗せ | 月0.7万円(2.4%) | 月0.3万円(1.0%) |
| 定期昇給 | 月0.2万円 | 月0.6万円 |
| 合計(最大) | 月1.9万円(6.3%) | 月1.9万円(6.3%) |
| 年収要件(キャリアパス要件Ⅳ) | 改善後の賃金年額440万円以上が1人以上 | 改善後の賃金年額460万円 |
保育:+5.3%は2025年度分。2026年度は「引き続き確保」
保育士・幼稚園教諭などの処遇改善は、こども家庭庁の公定価格(国が決める保育の費用の基準)の中で行われます。2025年度は、人事院勧告に合わせて人件費を+5.3%引き上げました。こども家庭庁の資料は、補正予算に反映したうえで「令和7年4月まで遡って公定価格の引上げを行う。」としています。
施設への要請として、同じ資料は「3月中には職員に改定分を支払うこと」「遅くとも、夏季の賞与(夏季の賞与がない場合は7月中)までには支払うこと」を挙げ、職員への説明では「単純に職員の給与が+5.3%になるものではない」ことにも触れるよう求めています。
2026年度については、こども家庭庁の資料が「保育士・幼稚園教諭等の公定価格上の人件費について、令和7年補正予算で措置した+5.3%の改善を引き続き確保する。」としています。2026年度の人事院勧告を受けた分の改定は、2026年9月27日時点で金額が示されていません。こども家庭庁の資料は「人事院勧告に伴う国家公務員の給与改定に伴う公定価格における人件費の改定は例年行っているが、補正予算の成立が必要となる。」としています。2025年度分は12月に単価が示されました。
保育の処遇改善等加算は、「令和7年度から、それまで、処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの3つあった加算について統合する」かたちで、区分1〜3に整理されました。
| 区分 | 目的 | 対象者 | 賃金改善の方法 |
|---|---|---|---|
| 区分1(基礎分) | 経験に応じた昇給の仕組みの整備や職場環境の改善 | 全職員 | 定期昇給等に充当 |
| 区分2(賃金改善分) | 職員の賃金改善 | 全職員 | 基本給、毎月決まって支払われる手当、賞与又は一時金等 |
| 区分3(質の向上分) | 技能・経験の向上に応じた賃金の改善 | 副主任保育士等、職務分野別リーダー等 | 基本給、毎月決まって支払われる手当 |
区分3の「月4万円」「月5千円」は、施設が受け取る加算額を計算するための単価で、対象の人数には上限があります。1人ずつの改善額について、同じ資料は副主任保育士等は「月額4万円を超えないものとする」、職務分野別リーダー等は「原則として月額5千円」としています。対象の職員全員に月4万円が上乗せされるという意味ではありません。
自分の手当を確かめる3つの質問
どの分野でも、加算は事業所に支払われ、事業所が配分します。自分の手当を確かめるには、勤務先に次の3つを聞くのが近道です。
- どの加算を、どの区分で算定しているか(介護・障害福祉ならⅠイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳ、保育なら区分1〜3)
- どの賃金で払っているか(基本給・毎月の手当・賞与・一時金)
- いつ払うか(加算の対象月と、給料に入る月)
介護では、厚生労働省の通知が、加算を算定する事業者に、賃金改善の方法を職員に周知し、職員から照会があれば「書面を用いるなど分かりやすく回答すること」に努めるよう求めています。保育でも、こども家庭庁の資料が、区分2・3の主な要件の一つに「賃金改善の具体的な内容を職員に周知」を挙げています。
よくある質問
処遇改善手当はいくらもらえますか?
処遇改善手当はいつまでもらえますか? なくなることはありますか?
パートや非常勤でももらえますか?
看護師は処遇改善手当をもらえますか?
給与明細に処遇改善手当がありません。もらえていないのですか?
保育士の給料は2026年度にさらに上がりますか?
出典
- 厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」(2026年9月27日確認)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」(2026年9月27日確認)
- 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(令和8年3月13日 老発0313第6号)(2026年9月27日確認)
- 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)(令和8年3月13日)」(2026年9月27日確認)
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第263回(2026年8月28日)資料1「介護人材確保に向けた処遇改善等」(2026年9月27日確認)
- 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(令和8年2月18日)(2026年9月27日確認)
- こども家庭庁 第13回子ども・子育て支援等分科会(令和7年12月23日)資料1-1「令和7年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定を踏まえた公定価格の人件費改定」(2026年9月27日確認)
- こども家庭庁「令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項 ~ 各改定事項概要資料 ~」(令和8年4月)(2026年9月27日確認)
- こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について(令和7年度以降)」(2026年9月27日確認)
本記事の金額・割合・日付は、上記の公表資料の記載を確認日時点で書き写したものです。金額はいずれも国が報酬に見込んだ水準で、実際の支給額は勤務先の算定区分と配分の方法で異なります。制度は改定される場合があります。当編集部は、記事で取り上げる事業所・求人サービス各社の関係者ではありません。