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処遇改善手当は最低賃金に含まれる?毎月の手当は含み、賞与型の一時金は除く(厚労省の基準)

処遇改善加算を原資にした手当は、最低賃金の計算に入るのか。答えを先に書くと、毎月決まって支払われる処遇改善手当は、最低賃金と比べる賃金に含まれます。賞与のように年に数回払う一時金や、臨時に払う一時金は含まれません。厚生労働省の「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」(2026年3月13日)の問1-6が、この問いに答えています(2026年9月27日確認)。

2026年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,177円(昨年度1,121円)で、2026年10月1日から12月2日までの間に、都道府県ごとに順次発効する予定です。最低賃金が上がると、同じ給料でも下回るおそれが出てきます。この記事では、Q&Aの原文、計算のしかた、都道府県別の金額をまとめます。

処遇改善手当と最低賃金。毎月の手当は最低賃金の計算に含み、賞与型の一時金は除く。2026年度の最低賃金は全国加重平均1,177円で、2026年10月1日から12月2日に順次発効する予定

要点

含まれる
毎月決まって支払われる処遇改善手当(名前が資格手当などでも同じ)、基本給に組み込まれた分
含まれない
賞与のように1か月を超える期間ごとに払う一時金、臨時に払う一時金
根拠
厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」問1-6。障害福祉のQ&A(2026年4月9日)にも同じ問答
最低賃金の対象
毎月支払われる基本的な賃金(厚生労働省)
2026年度の最低賃金
全国加重平均1,177円。2026年10月1日〜12月2日に都道府県ごとに順次発効(答申時点の予定)
確認日
2026年9月27日

厚生労働省の公表資料より編集部作成(2026年9月27日確認)

厚生労働省のQ&Aの答え

厚生労働省の「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」(2026年3月13日)の問1-6は、次のとおりです。

(問1-6)最低賃金を満たしているのかを計算するにあたっては、処遇改善加算により得た加算額を最低賃金額と比較する賃金に含めることとなるのか。

(答)処遇改善加算の加算額が、臨時に支払われる賃金や賞与等として支払われておらず、予定し得る通常の賃金として、毎月労働者に支払われているような場合には、当該加算額を最低賃金額と比較する賃金に含めることとなるが、処遇改善加算の目的等を踏まえ、最低賃金を満たした上で、賃金の引上げを行っていただくことが望ましい。

読み方のポイントは3つです。

  1. 毎月の手当なら含まれます。「予定し得る通常の賃金として、毎月労働者に支払われているような場合」には、最低賃金と比べる賃金に含めます。手当の名前は問いません。同じQ&Aの問1-3は、手当の名称を「処遇改善手当」などに限る必要はなく、「職能手当、資格手当、役職手当、地域手当等の名称であっても差し支えない」としています。
  2. 賞与や臨時の一時金は含まれません。「臨時に支払われる賃金や賞与等として」支払われている分は、最低賃金の計算から外れます。
  3. 後半は「望ましい」という書き方です。加算の目的から、最低賃金を満たしたうえで賃上げをするのが望ましいとしていますが、毎月の手当を含めて計算すること自体を禁じる書き方ではありません。

障害福祉も同じです。厚生労働省とこども家庭庁の事務連絡「福祉・介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」(2026年4月9日)にも、同じ問1-6と同じ答えがあります(大阪府のホームページに掲載された事務連絡で確認)。

保育は、こども家庭庁の「処遇改善等加算に関するFAQ」(第7版・2026年5月15日時点版)の本文に「最低賃金」という語がありませんでした。ただ、次の節の「最低賃金の対象となる賃金」の決まりは、保育士にも同じように当てはまります。地域別最低賃金は「パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、セーフティネットとして各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。」(厚生労働省「最低賃金制度」のサイト)。なお、こども家庭庁の資料では、保育の処遇改善等加算のうち区分3(副主任保育士等・職務分野別リーダー等)は基本給か毎月決まって支払われる手当で改善し、区分2は賞与や一時金で払うこともできる仕組みです。

最低賃金の計算から除く賃金(6つ)

厚生労働省は「最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。」としています。実際に支払われる賃金から、次の6つを除いたものが最低賃金の対象です。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

処遇改善加算による支払い方ごとに当てはめると、次のようになります。

支払い方最低賃金の計算に理由
毎月決まって払う処遇改善手当含むQ&A問1-6(毎月支払われる通常の賃金)
基本給に組み込む(ベースアップ)含む毎月支払われる基本的な賃金
時給への上乗せ含む除く6つに当たらない
夏・冬などに払う処遇改善の一時金含まない2.1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
1回だけの臨時の支給含まない1.臨時に支払われる賃金
夜勤の深夜割増の部分含まない5.深夜割増賃金など
通勤手当・家族手当・精皆勤手当含まない6.に当たる
厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」と「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」問1-6をもとに編集部が整理(2026年9月27日確認)。実際の扱いは賃金規程の内容で変わるため、迷うときは都道府県労働局か労働基準監督署に確かめてください。※スマートフォンでは横にスクロールできます

介護の処遇改善加算では、年度末などに一時金が出ることがあります。Q&Aの問1-9は、賃金改善の額が加算の額を下回ったときの扱いとして「不足する部分の賃金改善を賞与等の一時金として介護職員等に追加的に配分することで、返還を求めない取扱いとしても差し支えない。」としています。こうした一時金は、最低賃金の計算には入りません。

計算のしかた

厚生労働省の「最低賃金制度」のサイトは、比べ方を次のように示しています。

  • 時間給の場合:「時間給≧最低賃金額(時間額)」
  • 月給の場合:「月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)」

ここでいう月給には、前の節の6つを入れません。同じサイトの計算例でも、基本給と職務手当は入れ、通勤手当と時間外手当は除いて計算しています。基本給が日給制で手当が月給制のように組み合わさっている場合は、それぞれを時間額に直して合計し、最低賃金額と比べます。

計算例(編集部試算)

同じ額を受け取っていても、毎月の手当で払うか一時金で払うかで、最低賃金の判定が変わります。金額は説明のための仮の例です。

例1:東京都で月給制で働く介護職員

前提は、年間の所定労働日数250日、1日の所定労働時間8時間(年2,000時間)。給与明細は、基本給190,000円、処遇改善の支給が月25,000円分、通勤手当10,000円です。東京都の2026年度の最低賃金は1,280円(答申時点、発効予定2026年10月1日)です。

毎月25,000円の手当で払う同じ額(年300,000円)を一時金で払う
計算に入れる月給215,000円(基本給+手当)190,000円(基本給だけ)
1時間あたり1,290円1,140円
東京都の1,280円と比べると上回る下回る
1時間あたり=計算に入れる月給×12か月÷年2,000時間。通勤手当10,000円は最低賃金の計算から除きます。編集部試算。※スマートフォンでは横にスクロールできます

例2:福岡県で時給制で働くパート

基本の時給は1,080円で、処遇改善の分を時給に50円上乗せする場合と、同じ分を一時金で払う場合を比べます。福岡県の2026年度の最低賃金は1,114円(答申時点、発効予定2026年10月4日)です。

時給に50円上乗せする同じ分を一時金で払う
計算に入れる時給1,130円1,080円
福岡県の1,114円と比べると上回る下回る
編集部試算。最低賃金額と発効日は、厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額答申状況」(答申時点の予定)によります。※スマートフォンでは横にスクロールできます

どちらの例も、一時金で払う場合は最低賃金を下回る計算になります。毎月の手当で払っていても、Q&Aは加算の目的から「最低賃金を満たした上で、賃金の引上げを行っていただくことが望ましい」としています。

2026年度の地域別最低賃金(都道府県別・答申時点)

厚生労働省は2026年9月3日、47都道府県の地方最低賃金審議会の答申を取りまとめました。「改定額の全国加重平均額は1,177円(昨年度1,121円)」で、答申された改定額は「令和8年10月1日から令和8年12月2日までの間に順次発効される予定です。」としています。

都道府県改定額(答申)改定前引上げ額発効日(予定)
北海道1,131円1,075円56円2026年10月1日
青森県1,090円1,029円61円2026年10月29日
岩手県1,090円1,031円59円2026年12月1日
宮城県1,098円1,038円60円2026年10月1日
秋田県1,090円1,031円59円2026年10月14日
山形県1,092円1,032円60円2026年10月30日
福島県1,094円1,033円61円2026年10月16日
茨城県1,136円1,074円62円2026年10月18日
栃木県1,125円1,068円57円2026年10月1日
群馬県1,120円1,063円57円2026年10月3日
埼玉県1,196円1,141円55円2026年10月1日
千葉県1,195円1,140円55円2026年10月1日
東京都1,280円1,226円54円2026年10月1日
神奈川県1,279円1,225円54円2026年10月1日
新潟県1,108円1,050円58円2026年10月1日
富山県1,119円1,062円57円2026年10月1日
石川県1,113円1,054円59円2026年10月3日
福井県1,112円1,053円59円2026年10月4日
山梨県1,113円1,052円61円2026年11月1日
長野県1,117円1,061円56円2026年10月2日
岐阜県1,121円1,065円56円2026年10月1日
静岡県1,154円1,097円57円2026年10月15日
愛知県1,195円1,140円55円2026年10月1日
三重県1,143円1,087円56円2026年10月1日
滋賀県1,136円1,080円56円2026年10月3日
京都府1,180円1,122円58円2026年11月16日
大阪府1,231円1,177円54円2026年10月1日
兵庫県1,172円1,116円56円2026年10月1日
奈良県1,107円1,051円56円2026年10月4日
和歌山県1,101円1,045円56円2026年10月3日
鳥取県1,090円1,030円60円2026年10月3日
島根県1,092円1,033円59円2026年10月10日
岡山県1,104円1,047円57円2026年10月2日
広島県1,141円1,085円56円2026年10月11日
山口県1,101円1,043円58円2026年10月8日
徳島県1,103円1,046円57円2026年11月1日
香川県1,092円1,036円56円2026年10月1日
愛媛県1,093円1,033円60円2026年11月1日
高知県1,086円1,023円63円2026年10月29日
福岡県1,114円1,057円57円2026年10月4日
佐賀県1,095円1,030円65円2026年11月15日
長崎県1,087円1,031円56円2026年11月2日
熊本県1,092円1,034円58円2026年12月1日
大分県1,096円1,035円61円2026年11月1日
宮崎県1,085円1,023円62円2026年10月24日
鹿児島県1,090円1,026円64円2026年10月25日
沖縄県1,086円1,023円63円2026年12月2日
厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額答申状況」(別紙、2026年9月3日公表)より編集部作成(2026年9月27日確認)。別紙の注記は「発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性有」としています。確定した金額と発効日は、各都道府県労働局で確かめてください。※スマートフォンでは横にスクロールできます

2026年10月1日に発効する予定なのは、北海道・東京都・大阪府など15都道府県です。最も遅いのは沖縄県の12月2日です。最も高いのは東京都の1,280円、最も低いのは宮崎県の1,085円です。

下回っていそうなときは

厚生労働省のページは、最低賃金について「詳しくは、都道府県労働局又は最寄りの労働基準監督署にお問い合わせください。」と案内しています。

処遇改善加算の中身(算定している区分、賃金改善の方法、支給の時期)は勤務先に聞くのが確実です。介護では、厚生労働省の通知が、職員から照会があれば「書面を用いるなど分かりやすく回答すること」に努めるよう事業者に求めています(→介護の処遇改善加算2026はいくら?の「勤務先に確かめる方法」)。

よくある質問

処遇改善手当を含めないと最低賃金を下回ります。問題はありますか?
処遇改善手当が毎月決まって支払われているなら、最低賃金と比べる賃金に含めて計算するのが厚生労働省のQ&A(問1-6)の答えです。ただし同じQ&Aは、最低賃金を満たしたうえで賃上げをするのが望ましいとしています。手当を含めても下回るときは、都道府県労働局か労働基準監督署に相談できます。
年2回もらう「処遇改善一時金」は最低賃金に含まれますか?
含まれません。厚生労働省は、最低賃金の対象から「1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」(賞与など)と「臨時に支払われる賃金」を除いています(2026年9月27日確認)。
夜勤手当は最低賃金に含まれますか?
午後10時から午前5時までの労働に対する賃金のうち、通常の労働時間の賃金を超える部分(深夜割増賃金など)は除きます。夜勤手当がどの部分にあたるかは職場の賃金規程で決まるため、勤務先か労働基準監督署に確かめてください。
パートやアルバイトにも最低賃金は適用されますか?
適用されます。厚生労働省の「最低賃金制度」のサイトは、地域別最低賃金はパートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用されると説明しています。
保育士の処遇改善手当も同じ考え方ですか?
最低賃金の対象となる賃金の決まりは同じです。こども家庭庁の「処遇改善等加算に関するFAQ」(第7版)に最低賃金を扱った問いはありませんが、毎月決まって支払われる手当は含まれ、賞与や一時金は除かれます。保育の区分3は基本給か毎月の手当で改善する仕組みです。
最低賃金が上がったら、処遇改善手当を減らされることはありますか?
介護では、厚生労働省の通知が、賃金改善の対象として特定した項目を含めて「賃金水準(賃金の高さの水準をいう。以下同じ。)を低下させてはならない。」としています(経営の悪化などで特別事情届出書を出す場合を除く)。手当が減ったときは、理由を勤務先に書面で確かめてください。
新しい最低賃金はいつから適用されますか?
都道府県ごとに違います。答申時点の予定では、2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効します。発効日は変わることがあるため、上の表で予定を見たうえで、都道府県労働局で確かめてください。

出典

本記事の金額・日付・条件は、上記の公表資料の記載を確認日時点で書き写したものです。計算例は説明のための仮の例で、編集部の試算です。最低賃金の発効日は答申時点の予定で、変更される場合があります。個別の給与が最低賃金を満たすかどうかの判断は、都道府県労働局または労働基準監督署にご確認ください。当編集部は、記事で取り上げる事業所・求人サービス各社の関係者ではありません。